こんにちは、金川歯科です。
今回は、虫歯のメカニズムから考えた虫歯予防について簡単に解説します
どうして虫歯になる?
虫歯菌によって歯に穴が空く病気が虫歯です。
虫歯の原因は「細菌」で、Streptococcus mutans(ミュータンス菌)やStreptococcus sobrinusがう蝕病原菌として知られています。
これらのう蝕病原菌は、砂糖の主成分であるショ糖(スクロース)を代謝して、乳酸などの酸を作って歯を溶かします。
また、何よりも怖いのが、スクロースを原料にして作った「粘着性多糖体(グリコカリックスglycocalyx)」です。
文字通り、粘着性多糖体は、粘着性があるもので、これによって、う蝕病原菌は歯に頑固にくっつくことができます。
う蝕病原菌がスクロースを利用してつくる粘着性多糖体を「不溶性グルカン」といいます。
この不溶性グルカンでぬるぬるのバイオフィルムを形成して歯に頑固にくっつき、そこから酸を産生し続けることで歯を溶かしていき、放置すると大きな虫歯の穴を作るのです。
この話をまとめると、
1)虫歯はう蝕病原菌が原因である
2)う蝕病原菌はスクロースで不溶性グルカンを作る
3)不溶性グルカンによって、う蝕病原菌は歯に頑固にくっつく
4)歯に頑固にくっついたう蝕病原菌が酸を作り続けて、歯に穴を空ける
といった感じです。
要は、虫歯の形成には、「う蝕病原菌」と「スクロース」、そしてターゲットとなる「歯」が必要です。
虫歯の因子と予防
上で述べたように、虫歯形成には
1)う蝕病原菌
2)スクロース
3)歯
の3要素が必要であり、
逆にいうと、それぞれの要素を排除したり、強化することで虫歯を予防することができます。
虫歯をするために行うべきことを簡単にいうと、次のようになります。
1)う蝕病原菌の排除:正しく歯ブラシをして、う蝕病原菌が歯の表面にくっつかないようにする
2)スクロースの排除:甘味料として砂糖の代わりのものを摂取する
3)歯の強化:フッ素で歯の耐酸性をアップする
また、これらの3要素以外に、「時間」という要素もあります。
たとえば、砂糖を1時間置きに摂取する場合と、10分置きにだらだら摂取する場合で比較すると、10分置きにだらだら摂取する方が確実に虫歯になりやすいです。
砂糖を摂取する、プラーク(う蝕病原菌の塊)の中のpHはすぐに酸性に傾き、プラーク周囲の歯が溶け出しますが、唾液の力で、pHを中性に戻してくれるので、再石灰化が起こり、歯を脱灰から守ってくれます。
しかし、砂糖が耐えずに供給されれば、唾液の力が間に合わなくなり、脱灰が起こり続け、歯に穴が空いてしまいます。
なので、砂糖を摂取する場合は、しっかり時間を決めて、だらだら食べないことで、唾液の力を働かせて、虫歯になりにくくすることができます。
虫歯のメカニズムを知ることで、虫歯予防の戦略もはっきりしますね。
虫歯は十分に予防できる病気ですので、みなさんも虫歯になる前にしっかり予防して歯を大切にしましょう!