こんにちは、姜(かん)です。
今回は4k映像システムについて書いてみたいと思います。
歯医者で4k映像システムは何のために?
当院で4k映像システムを何に使うかというと、歯科用マイクロスコープでみた歯の状態を記録するためのシステムとして用いています。
まず、歯科における拡大視野には、マイクロスコープとルーペ(拡大鏡)がありますが、ルーペと比較したマイクロスコープの優位性というのは、(マイクロスコープの方が)
1)レンズの光学的性能を複雑化でき、高度なレンズ設計が可能
2)キセノンなど自然光に近く、輝度の非常に高い光源が利用できる
3)レンズと光源が同軸であるため、象がより鮮明にみえる
4)記録装置の拡張性が高い
などがあげられます。
ルーペでもコンパクトカメラなどを付ければ映像記録ができないわけではないですが、ルーペのレンズでみえている象とどうしてもずれて記録しますし、物理的に高性能カメラをルーペにつけることは重すぎて現実的ではないので、記録装置の拡張性という面では圧倒的にマイクロスコープの方が有利だと思います。
歯科用マイクロスコープ向け映像システム
マイクロスコープの映像システムには
1)医療用CCDカメラを用いる
2)ビデオカメラを用いる
3)一眼レフカメラ(ミラーレスを含む)を用いる
方法がありますが、上記の方法のうち、静止画・動画共に、3の方法が高画質化を実現てきます。
まず、4k動画というのは、3840*2160画素(約800万画素)の動画のことを言います。
ハイビジョンが1280*720(約100万画素)、フルハイビジョンが1920*1080(約200万画素)ですので、フルハイビジョンの約4倍の高画質です。
まず、Ikegami社などの医療用CCDカメラがありますが、4kシステムで構築すると数百万円以上のコストがかかりますし、録画されたデータの編集が難しいなど、3つの中で最もコスパの悪いシステムで、お勧めできません。
ソニーのハンディカムやパナソニックなどの4kビデオカメラでも十分きれいに動画が取れると思いますが、一眼レフカメラの方が、フルサイズやAPS-Cなどとイメージセンサーがビデオカメラ(1/2.5型)より大きいですし、画素数が2000万画素以上のものが多いので、ビデオカメラに比べるとより高精細な映像がとれます。また、以前のような30分の動画撮影時間制限がないものも出ています。
また、4k動画といっても、せいぜい800万画素しかないので、きれいな写真を撮りたい場合は、一眼レフカメラの方が圧倒的にきれいです。
このような理由で、当院では、マイクロスコープ向けの録画装置として、一眼レフカメラ、特にミラーレス一眼レフカメラを採用しています。
当院のマイクロスコープには、T2マウントカメラアダプターをマイクロスコープ側につけて、さらに、ソニーEマウントアダプターをつけてカメラをつけています。
当院で使っているカメラ
上記の写真のように、マイクロスコープにアダプターをつけて、そこにカメラをつける格好で使っています。
現在、当院で使っているカメラはソニーのミラーレス一眼レフカメラ、α7S3です。
α7シリーズの高感度モデルで、4k動画撮影に特化したカメラです。
主な仕様として、
1)約1300万画素
2)35mmフルサイズセンサー
3)動画撮影時間30分制限無し
4)4kでフレームレート120pまで撮影可能
5)色深度 4:2:2 10ビットで4k動画撮影可能
6)SDカード2枚まで装填可能
などなど、他社のカメラを圧倒する4kカメラスペックです。
実際、4k映像システムに必要な事項とα7s3における対応としては、
1)急速なカメラへの電源供給:USB給電(9V/3AのUSB-C PD、急速給電)
2)カメラのモニターへの接続:43型4kテレビにフルサイズHDMI端子で接続
3)記録媒体(SDカード):最低書き込み速度60MB/s(v60)で問題無し、v30でも4k/60pはとれる、v90・スピードのより速いCFexpressタイプaはほぼ必要なし
将来的には、カメラアダプターをマイクロスコープにもう一つつけて、現カメラは動画用としてそのまま使って、静止画用の高解像度カメラ(ソニーα7R4など)を追加したいと思っています。
また、4k動画の問題点として、データサイズが非常に大きいので、SDカードでは限界があるというところです。
なので、次のアップグレードとしては、atmos社のninja 5というレコーダーをカメラにつけて動画データを記録したいと思っています。
意外に長くなりましたが、これでマイクロスコープ用4k映像システムの構築について書いてみました。ぜひ参考にしてください。