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mRNAワクチンについて知っておこう

こんにちは、金川歯科のかんです。

日本でもファイザー社製コロナウイルスワクチンの接種がはじまりました。

今回のファイザーのワクチンは、mRNAワクチンと呼ばれていますが、かなり先進的な技術で作られたものらしいです。

コロナウイルスワクチン(コミナティ筋注、BIONTECH & Pfizer)の適正使用ガイドを参考に、mRNAワクチンの仕組みについて解説していきたいと思います。

まず、mRNAってなに?

mRNAは、メッセンジャーRNAの略で、伝令RNAとも呼ばれます。

そもそも、RNA(リボ核酸ribonucleic acid)ですが、mRNA以外にも、tRNA、rRNA、二本鎖RNAなどさまざまな種類があり、最先端生物学・医学・薬学分野で特に注目されているそうです。

mRNAの役割を理解するために、家にあるパソコンに例えて説明してみましょう。

パソコンには記憶装置としてハードディスク(最近ではSSDが主流でしょうか)があって、そこにWindowsやMacOSなどのOSやワード・パワーポイントなどのソフト、スマホで撮った写真などのさまざまなデータが記録されています。そして、ハードディスクのデータの一部を外部に持ち出すときにはUSBメモリーなどにデータをコピーして、別のデバイスに移して動画を作ったり、スライドを作ったりもできます

我々の細胞も同じく、データ(遺伝情報)を持っており、それを核の中にあるDNA(デオキシリボ核酸deoxyribonucleic acid)に保存しています。ここには、生命の維持や増殖に必要なさまざまな種類のタンパク質RNAを作るための設計図のデータが記録されています。

DNAに記録されているタンパク質やRNAすべてのデータの内、必要な情報だけをメッセンジャーRNA(mRNA)にコピーし(転写transcription)、核の外の細胞質のなかにある小胞体というタンパク質工場に運ばれ、mRNAのデータを元にタンパク質を作るのです翻訳translation

家のパソコンに例えると、

細胞 = 家

細胞質 = 家の中

核 = パソコン

DNA  = ハードディスク

mRNA = USBメモリー

タンパク質 = USBメモリーにコピーしたデータで作成されたなんらかのコンテンツ

で理解すると概ねオッケーかと思います。

コロナウイルスの生き方

コロナウイルスは、RNAウイルスで、自分の遺伝情報をDNAではなくRNAに記録しています。

コロナウイルスの中には、RNAの遺伝情報しか入ってなく、それを元にタンパク質を合成したり、自己増殖したりするなどの高度なことは、宿主細胞のものを借りて行います。

具体的には、1)コロナウイルスがACE2というヒトの細胞表面のタンパク質に結合して、2)コロナウイルスが細胞膜を通過して細胞内に入り、3)自分の遺伝情報が入っているコロナウイルスのRNAを細胞質に放出します。その後、4)ウイルス増殖に必要なタンパク質を、ヒトの細胞内小器官(小胞体)を使って作り、5)新しいウイルス組み立てて、6)新たに完成したコロナウイルスが細胞外に出て、これらの過程を繰り返すことでどんどん増殖していきます。

(図1)コロナウイルス(SARS-CoV-2)の細胞への感染(コミナティ適正使用ガイドより)

mRNAワクチンの仕組み

今回接種がはじまったコロナウイルスのmRNAワクチンは、コロナウイルス抗原になるタンパク質の鋳型となるmRNAを脂質に包み、mRNAをヒトの細胞内に放出させて抗原を細胞内で作らせて(mRNAの翻訳とタンパク質合成)、免疫系にそれを渡して(抗原提示)、コロナウイルスに対する免疫を獲得させるものとなります。

(図2)mRNAワクチンの仕組み(コミナティ適正使用ガイドより)

ちょっと何が何だかわからなくなるので、まず「科捜研の女」を思い出してみましょう。

登場人物として、

1)細胞 = 科捜研

2)コロナウイルス = 犯人

3)コロナウイルスワクチンの脂質膜= 封筒

4)コロナウイルスワクチンのmRNA = 犯人に関する資料

5)抗原(コロナウイルスのタンパク質) = 科捜研が作成した犯人である証拠

6)免疫系 = 警察

に例えて解説してみましょう。

 

科捜研(細胞)に封筒(ワクチンの脂質膜)に厳重に封された犯人の資料(ワクチンのmRNA)が渡されます。

→それを元に、各種科学分析を行い、確固たる証拠を作成します。

→科捜研によって作成された証拠(抗原)を警察(獲得免疫系)に渡して、警察が犯人(コロナウイルス)を逮捕します。

いかがでしょうか。

このmRNAワクチンの仕組みを理解すると、分子生物学の基本的な知識を理解するにも役立ちます。

また学生時代に勉強した「DNA->mRNA->タンパク質」というDNAの二重らせん構造を解明したフランシス・クリックの「セントラルドグマ」を思い出しますね。

 

発癌性やmRNAの残留など、いろいろな不安もいわれていますが、なかなか面白いワクチンだなと思って、ワクチンの適正使用ガイドをみながら解説してみました。

ガイド的には、おそらく少なくとも9日以内にはmRNAが消失するため、mRNAが残存したり、我々のDNAに組み込まれたりする心配はないという見解ですね。

次のURLではmRNAワクチンに関する疑問について回答していますので参考までに

www.hosp.ncgm.go.jp/isc/vaccines/020/index.html

世界的にワクチン接種も普及して安全性も確認されてきているので、医療従事者として、そしてコロナウイルス蔓延の終息を願って早くワクチン接種を受けたいと思います。

それではまた!

 

富山市総曲輪の歯医者|金川歯科

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