こんにちは、かんです。
まず、遅くなりますが、新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
新年一発目になりますが、今回はライオンさんの歯磨き粉成分をみながら、患者様それぞれに合った歯磨き粉選びに役に立つ情報について書いてみます。
虫歯型か歯周病型か
まず、歯科の2大疾患は、みなさんご存知の虫歯と歯周病ですが、虫歯と歯周病でそれぞれ求められる薬用成分が異なってきます。
この記事では簡単に1)虫歯体質の患者様向けと2)歯周病体質の患者様向けに分けて、それぞれに必要な歯磨き粉成分について解説します。
今回はまず虫歯型の患者様向けの歯磨き粉について書いていきます。その延長で、象牙質知覚過敏に有効な歯磨き粉についても記載します。
フッ素で虫歯に強い歯にする
まず、虫歯型の方に必要な成分は、フッ素(フッ化ナトリウム)です。
虫歯というのは、簡単に説明すると、Streptococcus mutans(ミュータンス菌)という細菌が、砂糖を代謝してできた酸によって歯が侵される病気です。
フッ素を使う目的は、ミュータンス菌による酸の攻撃に強い歯にすることです。
どのように酸に強い歯にしてくれるかというと、ハイドロキシアパタイトという結晶からできているエナメル質や象牙質の表面にフッ素が塗布されることで、ハイドロキシアパタイトが一部フルオロアパタイトという結晶にかわって、酸の攻撃に強くなる仕組みです。
濃度が高ければ高いほど、フッ素の効果が発揮できますが、濃度が高いとフッ素の毒性も出てくるので、家庭用の歯磨き粉としては許容されている濃度は日本では最大1,500ppm(実際販売されているのは最大1,450ppm)になります。
また、実際フッ素を塗っても、お口の中では唾液によってすぐに流されるか薄まるので、フッ素の効果を高めるには、できるだけフッ素を歯の表面に留めさせる必要があるので、「コーティング成分」が入っているものがあります。
まとめると、虫歯型の方に有効な薬用成分は
1)フッ素:フッ化ナトリウム(できれば1,450ppmのもの)
2)コーティング剤:カチオン化セルロース(ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド)、PCA(ピロリドンカルボン酸)
があります。
LIONの虫歯用歯磨剤であるチェックアップのライナップです。
子供から成人まで、それぞれのライフステージに合わせた薬用成分が配合されています。
歯磨き粉のフッ素成分は、お口の中ですぐ薄まってしまうので、できれば高濃度のものを使った方が良いでしょう。
歯がしみるときには何がいい?
冷たいものや歯ブラシのとき、歯がしみる、つまり、象牙質知覚過敏に有効な歯磨き粉はどれでしょうか?
CMでもよくやっているシュミテクトが、知覚過敏用歯磨剤として有名かと思います。
まず、象牙質知覚過敏とは、歯の表面のエナメル歯が剥がれ、内層である象牙質が露出することで冷温刺激や歯ブラシなどの擦過刺激でしみる状態をいいます。
特に、歯と歯茎の境目である歯頸部のエナメル質は非常に薄く、研磨剤入り歯磨き粉の使用などですり減りやすく、簡単に象牙質が露出してしまうことがあります。
このように露出してしまった象牙質は、感覚があるので、とてもしみるようになることがあります。(象牙質知覚過敏)
象牙質の感覚は、外来刺激が、象牙質にたくさん空いている穴(象牙細管)を通して歯髄の神経に伝わることで感じます。シュミテクトなどのしみ留め成分の歯磨き粉は、象牙細管を封鎖する成分(硝酸カリウム)を含有しています。
しかし、市販のもののほとんどには研磨剤が入っていますので、露出してしまった象牙質にそれを継続して使うと余計に象牙質がすり減ってしまい、知覚過敏が悪化する場合もあります。なので、知覚過敏用の歯磨き粉は、できれば研磨剤無配合のものが望ましいです。
特に、ライオンさんのチェックアップシリーズの内、「チェックアップルートケア」が象牙質知覚過敏用としては理にかなっている成分構成かと思います。
知覚過敏抑制成分の硝酸カリウムはもちろん、研磨剤が入っていませんし、フッ素濃度も高濃度に入っているので、露出した象牙質の虫歯予防にも有効です。
チェックアップシリーズは、基本的には歯科医院専売品で、普通の薬局には置いてないので、かかりつけの歯医者で買い求める必要があります。
今回はまず虫歯体質の方向けの歯磨き粉に必要な成分を解説してみました。
次回は、歯周病体質の方向けの歯磨き粉についてまとめてみます。