しかし、最近では、マイクロスコープの拡大視野やMTAという歯科用セメントの活用により、歯髄を温存できるチャンスが増えました。歯髄を保存することで、歯髄の神経伝達機能や免疫機能、象牙質修復機能などの生物学的機能が温存できますし、根管治療による医原性トラブルや歯根破折リスクの回避に繋がるなど、そのメリットは非常に大きいです。
マイクロスコープとは?
マイクロスコープとは、歯科用実体顕微鏡のことで、最大約20倍まで光学的に視野を拡大し、歯の状態を細かく観察できるようにします。特に、根管治療分野でよく活用されています。最近では、深在性う蝕に対する歯髄保存療法(Vital Pulp Therapy)でも活躍しています。
虫歯などによる感染源の徹底除去にマイクロスコープの拡大視野は必要不可欠といえます。また、マイクロスコープを用いれば、歯髄の状態を直接観察し、虫歯によってダメージを受けている歯髄と、ダメージを受けていない健全な歯髄を識別することもできます。
MTA
(Mineral Trioxide Aggregate)
ケイ酸カルシウムを主成分とし、水と反応することで硬化する歯科用セメントです。その優れた封鎖性、生体親和性から歯髄を保護するセメント(覆髄剤)として使われます。MTAは歯髄保存療法の予後に大きく貢献しています。
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ラバーダム防湿
唾液からの歯の内部への細菌混入を防ぐため、治療中は必ずラバーダム防湿を行います。