過去に根管治療既往のある歯の根管内が細菌感染し、歯根の尖端の炎症(根尖性歯周炎)が再発した場合、歯根の尖端に外科的にアプローチして、尖端側から根管治療を行う方法です。
手術用マイクロスコープの拡大視野下で行う歯根端切除術のことをいいます。
従来は、肉眼レベルで、感染した根の尖端を切るだけの手術を行っていましたが、治療成績が非常に悪かったです。
マイクロサージェリーでは、根の尖端を切るだけでなく、手術用マイクロスコープの拡大視野下で、手術用超音波チップで根の尖端から根管内を消毒し(逆根管窩洞形成)、歯科用セメント(主にMTA)で根管を封鎖することで(逆根管充填)、治療成績が著しく改善しました。
●前歯~第一大臼歯の近心頬側根
奥歯になるほど、根の尖端への外科的アプローチが難しくなりますので、その場合は、意図的再植を検討します。
歯の根の尖端の外に、白いものが出ており、強い炎症反応が起きていた症例です。
歯茎を開いて、根の尖端にアプローチした様子、尖端には膿が溜まっていて、黄色い袋状の炎症組織が見えました。
炎症組織を取り除き、感染している根の尖端を3mmほど切除し、根管内を消毒したあとの状態
消毒した根管内を歯科用セメント(EBA)でしっかり封鎖します。
根の尖端に歯科用セメントがしっかり充填されています。
根の尖端の炎症(黒かった部分)がなくなり、炎症で喪失していた骨がきれいに回復しています。
左上第二小臼歯の症例で、根の治療がきちんとされており、クラウンの適合も良好だったので、クラウンを極力壊さないで根の尖端の炎症を治療することにしました。